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永瀬 文久; 成川 隆文; 天谷 政樹
JAEA-Review 2020-076, 129 Pages, 2021/03
軽水炉においては、冷却系配管破断等による冷却材喪失事故(LOCA)時にも炉心の冷却可能な形状を維持し放射性核分裂生成物の周辺への放出を抑制するために、非常用炉心冷却系(ECCS)が設置されている。ECCSの設計上の機能及び性能を評価し、評価結果が十分な安全余裕を有することを確認するために、「軽水型動力炉の非常用炉心冷却系の性能評価指針」が定められている。同指針に規定されている基準は1975年に定められた後、1981年に当時の最新知見を参考に見直しが行われている。その後、軽水炉においては燃料の高燃焼度化及びそれに必要な被覆管材料の改良や設計変更が進められたが、それに対応した指針の見直しは行われていない。一方、高燃焼度燃料のLOCA時挙動や高燃焼度燃料への現行指針の適用性に関する多くの技術的な知見が取得されてきている。本報告においては、我が国における指針の制定経緯及び技術的根拠を確認しつつ、国内外におけるLOCA時燃料挙動に係る最新の技術的知見を取りまとめる。また、同指針を高燃焼度燃料に適用することの妥当性に関する見解を述べる。
宇田川 豊; 更田 豊志*
Comprehensive Nuclear Materials, 2nd Edition, Vol.2, p.322 - 338, 2020/08
This article aims at providing a general outline of fuel behavior during a reactivity-initiated accident (RIA) postulated in light water reactors (LWRs) and at showing experimental data providing technical basis for the current RIA-related regulatory criteria in Japan.
近澤 佳隆; 加藤 篤志; 鍋島 邦彦; 大高 雅彦; 鵜澤 将行*; 猪狩 理紗子*; 岩崎 幹典*
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 8 Pages, 2015/05
JSFR実証施設のBOP設備として燃料取扱設備、電源設備、空調・補機冷却系、建屋配置等を対象として、SDCを満足するため設計方針と評価についてまとめた。燃料貯蔵設備については原子炉冷却系と同様の考え方による除熱系の多重・多様化の強化、電源設備については従来の非常用電源の強化に加え代替非常用電源の追加、空調・補機冷却系:安全系機器の依存関係の明確化、多様化の観点から崩壊熱除去を海水冷却で行った場合の影響評価、建屋配置については外部事象評価の概要(地震,津波,風,雪)、分散配置方針、漏えい対策等を中心に安全設計クライテリア及びそのガイドラインの設定の背景となった評価結果を報告する。
沢 和弘; 植田 祥平; 伊与久 達夫
Proceedings of International Conference on Global Environment and Advanced Nuclear Power Plants (GENES4/ANP 2003) (CD-ROM), 10 Pages, 2003/09
本報では、ZrC被覆粒子を含む被覆燃料粒子の研究開発の現状を述べる。現在の高温ガス炉では、SiC層被覆のいわゆるTRISO型燃料を用いている。安全設計では、1次冷却材中への核分裂生成物放出量が制限値を超えないよう、被覆燃料粒子内に核分裂生成物を閉じ込めることが重要である。TRISO型被覆燃料粒子の挙動は、各種実験や原子炉運転経験により研究されてきた。これらのデータは、TRISO型被覆燃料粒子は、正しく製造されれば優れた性能を有することを示している。一方、SiCは高温化では分解し、製造時の-SiC層から-SiC層への遷移温度は1600から2200Cである。ZrCは遷移金属性の炭化物であり、高融点,熱化学的安定性を特徴とする。化学蒸着によるZrC被覆層について、製造過程,特性評価等の研究が進められてきた。
沢 和弘; 鈴木 修一*; 塩沢 周策
Nuclear Engineering and Design, 208(3), p.305 - 313, 2001/09
被引用回数:41 パーセンタイル:92.42(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉では、高温の冷却材温度を達成するために、被覆燃料粒子を用いている。現在の高温ガス炉では、四重被覆粒子を燃料としている。高温ガス炉燃料の安全設計においては、1次冷却材中の放射能が許容範囲を超えないよう、核分裂生成物を被覆燃料粒子内に閉込めることが重要である。そこで、燃料の基本設計方針は、製造時の燃料破損率を最小化するとともに、運転中の著しい追加破損を防止することである。この基本方針に基づき、HTTR燃料の安全設計方針及び検査基準を定めた。本検査基準の検査項目,方法,抜取率によって、HTTR初装荷燃料の製作を行った。
神永 雅紀; 山本 和喜
JAERI-Tech 97-016, 120 Pages, 1997/03
JRR-3は、低濃縮板状燃料を使用した軽水減速・冷却、ベリリウム及び重水反射体付プール型炉であり、熱出力は20MWである。JRR-3では、現在、シリサイド燃料化計画が進められており、燃料としては現在のウランアルミニウム(UAl-Al)分散型燃料(アルミナイド燃料)に代わり、ウランシリコンアルミニウム(USi-Al)分散型燃料(シリサイド燃料)を使用する予定である。本報告書は、JRR-3のシリサイド燃料化計画の一環として実施したJRR-3シリサイド燃料炉心の安全評価のための冷却異常事象の解析について述べたものである。評価すべき冷却異常事象として、運転時の異常な過渡変化及び事故の計6事象を選定し、THYDE-Wコードにより解析した。その結果、選定した冷却異常事象は、いずれも安全性を判断する基準を満足し、安全性を確保できることを確認した。
神永 雅紀
JAERI-Tech 97-014, 125 Pages, 1997/03
JRR-3は、低濃縮板状燃料を使用した軽水減速・冷却、ベリリウム及び重水反射体付プール型炉であり、熱出力は20MWである。JRR-3では、現在、シリサイド燃料化計画が進められており、燃料としては現在のウランアルミニウム(UAl-Al)分散型燃料(アルミナイド燃料)に代わり、ウランシリコンアルミニウム(USi-Al)分散型燃料(シリサイド燃料)を使用する予定である。本報告書は、JRR-3シリサイド燃料化計画の一環として実施したJRR-3シリサイド燃料炉心の安全評価のための反応度投入事象の解析について述べたものである。評価すべき反応度投入事象として、運転時の異常な過渡変化5事象を選定し、EUREKA-2コードにより解析した。その結果、選定した反応度投入事象は、いずれも安全性を判断する基準を満足し、安全性を確保できることを確認した。
久語 輝彦; 中川 正幸
PHYSOR 96: Int. Conf. on the Physics of Reactors, 1, p.B73 - B81, 1996/00
原子炉炉心設計では基本的な設計変数の最適な組み合わせを決定するために、従来多大な計算時間と手間を要して、パラメトリックサーベイ計算を繰り返すという手法がよくとられている。この作業を直接支援するために、多数の設計変数に対して効率よく設計ウィンドウを推定する手法を階層型ニューラルネットワークを用いて開発した。本手法は、設計変数から炉心特性値を推定するニューラルネットワークを構築し、解析コードの実行により得られた設計変数と炉心特性値の組の複数個を教師データとしてそのニューラルネットワークに学習させ、学習済み階層型ニューラルネットワークより、未知の設計変数の組み合わせに対しても短時間で適当な炉心特性値を推定させるという手法である。本手法を燃料ピン設計を対象に核及び熱水力設計分野に応用した。高転換軽水炉の設計に適用し、本手法の有効性を確かめた。
國富 一彦; 塩沢 周策; 馬場 治
Proc. of ASMEJSME 4th Int. Conf. on Nuclear Engineering 1996 (ICONE-4), 2, p.303 - 307, 1996/00
シビアアクシデントフリー炉は、その優れた固有の安全性により、1次冷却材の喪失する減圧事故時にも、燃料温度が許容値を超えることはなく、燃料からの有意の放射能の放出はない。また、格納容器内を不活性な雰囲気にすること、蒸気発生器等の水系を直接に1次系に接続しないことにより、燃料の酸化、水侵入による反応度の添加も起こらない。従来から、HTGRは安全性の優れた原子炉と見なされているが、その安全性は安全評価とPSAにより評価されており、PSAの概念が理解されにくいPAの観点、故障率のデータが軽水炉ほど十分にないため許認可の観点からも、実際には優れた安全性が理解されていない。SFHTRでは、その安全性をPSAにより評価するのではなく、高温工学試験研究炉(HTTR)を用いて事故模擬試験を行い、実際に燃料が破損せず安全であることを示す。このように、SFHTRでは、PSAにより安全性を実証する軽水炉と全く異なる安全論理に基づいて安全性を実証する。
神永 雅紀; 山本 和喜; 渡辺 終吉; 中野 佳洋
JAERI-Tech 95-040, 79 Pages, 1995/07
JRR-4は、高濃縮板状燃料を使用した軽水減速・冷却、黒鉛反射体付プール型炉であり、熱出力は3.5MWである。JRR-4では、現在、低濃縮化計画が進められており、燃料としてはウランシリコンアルミニウム(USi-Al)分散型燃料(シリサイド燃料)を使用する予定である。本報告書は、JRR-4の低濃縮化計画の一環として実施したJRR-4シリサイド燃料炉心の安全評価のための反応度投入事象の解析について述べたものである。評価すべき反応度投入事象として、運転時の異常な過渡変化4事象を選定して解析した。解析では、1点近似核熱水力結合動特性解析コードEUREKA-2を使用した。その結果、選定した反応度投入事象は、運転時の異常な過渡変化時の安全性を判断する基準を満足し、いずれも安全が確保されることを確認した。
丸山 創; 藤本 望; 数土 幸夫; 村上 知行*; 藤井 貞夫*
Nucl. Eng. Des., 152, p.183 - 196, 1994/00
被引用回数:15 パーセンタイル:75.28(Nuclear Science & Technology)高温工学試験研究炉(HTTR)は、原子炉出口冷却材温度950C、熱出力30MWの我が国初の高温ガス炉である。本報は、HTTRの炉心熱流力特性評価に関連する設計方針、解析コードの検証を含めた評価手法、原子炉出口冷却材温度950Cを得るための設計対応及び評価結果についてまとめたものである。通常運転時の炉心有効流量は全流量の約88%となり、これを用いて評価した燃料最高温度1492Cは、被覆燃料粒子の健全性の観点から定めた主要な熱的制限値1495Cを下回っている。
永岡 芳春; 小向 文作; 桜井 文雄; 斎藤 実; 二村 嘉明
JAERI-M 92-095, 68 Pages, 1992/07
JMTRは、ETR型板状燃料を使用した軽水減速・冷却タンク型の熱出力50MWの汎用型材料試験炉であり、1993年にMEU燃料からLEU燃料への転換が計画されている。このため、LEU燃料炉心の安全評価の一環として、反応度投入事象に関する解析を実施した。評価すべき反応度投入事象として、以下に挙げる運転時の異常な過渡変化に関する4事象及び事故に関する1事象を選定し解析の対象とした。(1)運転時の異常な過渡変化、(1)起動時における制御棒の異常な引抜き、(2)出力運転中の制御棒の異常な引抜き、(3)照射試料による反応度付加、(4)冷水導入による反応度付加、(2)事故、(1)照射装置の破損による反応度の異常な付加、解析は、1点を近似核熱水力結合動特性解析コードEUREKA-2を使用した。解析の結果、選定した反応度投入事象については、運転時の異常な過渡変化時および事故時の安全性を判断する基準を満足することを確認した。
永岡 芳春; 小向 文作; 桜井 文雄; 斎藤 実; 二村 嘉明
JAERI-M 92-042, 92 Pages, 1992/03
JMTRは、ETR型板状燃料を使用した軽水減速・冷却タンク型の熱出力50MWの汎用型材料試験炉であり、1993年にMEU燃料からLEU燃料への転換が計画されている。このため、LEU燃料炉心の安全評価の一環として、ホットスポットファクタの検討を実施した。本報告は、LEU燃料を使用する炉心の熱設計及び安全解析に用いられるホットスポットファクタのうち核的ホットスポットファクタについて、計算方法及び結果について述べている。核的ホットスポットファクタの各因子は、核計算により求めることとし、検討した。その結果、核的ホットスポットファクタの最大は、3.14となった。
林 君夫; 塩沢 周策; 新藤 雅美; 伊与久 達夫; 浅海 正延*; 菊地 孝行; 沢 和弘; 中川 繁昭; 鹿志村 悟; 菊地 啓修; et al.
JAERI-M 91-140, 61 Pages, 1991/09
高温工学試験研究炉(HTTR)の安全評価を行なうため、運転時の異常な過渡変化時及び事故時における燃料及び炉心の安全評価上の判断基準を検討した。異常な過渡変化時の判断基準は、炉心燃料については、「燃料最高温度が1600Cを超えないこと」とし、燃料限界照射試料については「試料温度が2500Cを超えないこと」とした。一方、事故時の判断基準は、(i)燃料要素が黒鉛ブロック内に留まっていること、(ii)サポートポスト及びポストシートが炉心を支持するのに十分な強度を有していること、とした。以上のように設定することの妥当性を燃料から見た代表的な異常事象における燃料の挙動を取り上げて示した。
斎藤 伸三; 田中 利幸; 数土 幸夫; 馬場 治; 塩沢 周策; 大久保 実
Energy, 16(1-2), p.449 - 458, 1991/00
被引用回数:4 パーセンタイル:55.37(Thermodynamics)高温工学試験研究炉(HTTR)の安全設計の基本方針を述べ、設計の概要をまとめた。さらに、安全上重要かつ特有な課題について、その論理構成とバックデータを説明した。すなわち、燃料の許容設計限界について被覆燃料粒子と破損機構との関係から運転時の異状な過渡変化までの状態に対して最高温度を1,600Cと制限すること及びその根拠、原子炉出口温度950C達成の原子炉冷却材圧力バウンダリ設計上の要求事項、事故時崩壊熱除去方法と信頼性、FP閉じ込めと格納容器の必要性等について詳述した。